スタートアップ企業 Goals、NEDO が産総研へ委託したプロジェクトに協力
飲食店での AI 活用により実験対象食材の 91.7%で発注を完全自動化に成功
外食産業向けクラウドサービス「HANZO 自動発注」を用いた自動発注実証結果を報告
株式会社Goals(本社:東京都港区 代表取締役:佐崎 傑 以下、当社)は、国立研究開発 法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)に委託した研究プロジェクトの一部に伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長COO:石井 敬太 以下、伊藤忠商事)と共同で実施協力しました。店舗におけるAI需要予測・自動発注の実現を目指し、当社が提供する外食産業向けクラウドサービス「HANZO 自動発注」を用いて、2021年12月に実証実験を実施しました。
実証実験前では本クラウドサービス導入により1店舗あたり月間で最大12.5 時間の発注業務時間の短縮を実現していました。さらに、一部店舗を対象に行った本実験では対象食材の91.7%で発注業務を完全自動化することに成功しました。
「HANZO 自動発注」の概要
飲食店における食材の発注業務は、店舗ごとに日々の来客数や各メニューの注文数を予想した上で、使う食材の分量や発注済みの食材数など様々な情報を含めた計算が担当者の頭の 中で行われています。このため、発注業務が複雑化し業務時間の増大や、発注ミスによる食 材のロス・品切れなどを招いています。
「HANZO 自動発注」は、過去の売上実績をAIが学習し、店舗ごとに天候や時期に応じた来 客数と各メニューの注文数・売上を予測します。この売上予測と、システム内で管理してい る各メニューに利用される食材分量表(レシピ)情報を合わせることで、食材別に使われる 量の予測を立て、人の判断を介さずに適正な食材の発注を実現します。
実証実験の背景
NEDOの委託のもと、産総研が「人工知能技術適用によるスマート社会の実現/生産性分野/農作物におけるスマートフードチェーンの研究開発」における人工知能技術の有効性研究 を実施しており、その一部研究の実証を伊藤忠商事が受託。産総研と伊藤忠商事は、消費者行動データ(需要)を起点として情報流・物流・金流が相互に連携されるデマンドチェーンの構築を議論する中で、食品ロス・労働生産性の改善が必至な外食領域を実証ターゲットの 一つにしました。
外食領域におけるデマンドチェーン構築の基盤として、店舗におけるAI需要予測・自動発注プラットフォームの構築・検証を伊藤忠商事とクラウド提供で稼働実績のある当社が実施するに至りました。
実証実験の概要
「HANZO 自動発注」は2021年9月より、株式会社ダンダダンが運営する「肉汁餃子のダンダダン」の全 77 店舗(当時時点、FC加盟店を除く)に、株式会社インフォマートが提供する「BtoB プラットフォーム受発注」へ発注データを連携する形で導入されています。導入時の機能では、1店舗あたり最大で月間12.5時間の発注業務の時間削減が実現しました。
今回の実証実験では、一部残していた発注担当者が行う操作を、AI予測精度を向上させることで、完全に人の判断を介さない完全自動発注の実現を試みました。食材の選定は発注の 傾向を分類し、全体の約 58%が合致した不定期定量発注モデル※の食材を用いています。
結果として選出した食材のうち 91.7%で、適正量での完全自動発注が実現しました。
※不定期定量発注モデル:発注タイミングに決まった傾向はないが、毎回必ず決まった数量で発注を行う方式
実験対象
業態・店舗:「肉汁餃子のダンダダン」(居酒屋店)の首都圏3店舗
期間:2021年12月1日〜12月17日
食材:各店舗平均 67品目
今後の展望
今回の結果から、AI予測精度の改善で対象食材の完全発注自動化を100%実現できる可能性がみられました。今後は対象食材の拡大のため、機能の更なる拡充に取り組んでいきます。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所のコメント
社会のデジタル変革を進める上で、食に関するバリューチェーン(フードチェーン)をスマート化し、供給側からのサプライチェーンだけでなく、需要の情報を還元できるデマンド チェーンを構築することで食品ロスの削減や、物流や人材などのリソース最適化、生産・流通に対するマーケティング機能の向上、消費者に対する付加価値向上などが期待されます。
こうした取り組みを具体的に推進するために、現場のオペレーションをデータ化し、予測 に基づいて自動化する実証実験を実現できたことは画期的なことだと思います。今後さらにデータの拡大と予測技術の高度化により効果が高められることを期待しています。
(人工知能研究センター首席研究員/人工知能技術コンソーシアム会長 本村 陽一様)
今回の実証実験のコア技術として、「HANZO 自動発注」をご提供いただきました。現場オペレーションへの洞察や優れたUI(ユーザーインターフェース)により、単なるAIの計算精度向上だけでは成しえない具体的成果を上げることができました。今後も共同実験を通じ「経済発展と社会的課題の解決を両立する技術」の社会実装への寄与を期待します。
(人工知能研究センター研究支援アドバイザー/株式会社シグマクシス 常務執行役員 松岡 竜大様)
実験にご協力いただいた、株式会社ダンダダン 取締役営業部長 福田 亮介様のコメント
以前から自動発注という分野について弊社としては高い関心を持っていました。飲食店では発注という業務は属人的になりがちなだけでなく、教育を施しにくいという問題を常に抱えていました。特に酒類をメインに提供する弊社の業態では、夜のピーク後に発注業務に取り掛からなければ精度を向上できず、業務の中で負担が重い状況でした。
プロジェクトを進めていく中で、弊社が抱える問題点を解消できるイメージができ実現に向けて進んでいると感じています。今後は発注の属人化の廃止、店舗における食材ロスの見える化、業務負担を最大限軽減できる未来に向けて取り組みをさらに進めていく次第です。
株式会社Goals 代表取締役 佐崎 傑のコメント
当社は私を含めた創業メンバーが、基幹業務システムと AI 等の先端技術について両方の知見をバックグラウンドに持ち、「技術を具体的な業務にどう活用できるか」を意識した研究開発・製品開発に強みがあります。そういった集団が外食産業における業務課題の解決に全力で取り組んだことで、「HANZO 自動発注」が誕生しました。今回の実証実験では、お客様に対しこれまで以上の価値を提供できる手応えを感じました。今後引き続き、「HANZO 自動発注」を更に多くの企業様へご利用いただくことを目指して参ります。
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